インドでは、小学校のうちからインド式計算術を習います。そして、インドは理系が得意な方が多く優秀なIT技術者を多数輩出しています。しかし、だからといって、日本で小学生のうちからインド式計算術を教えるのは問題があると思います。
インド式計算術の特徴は、実際の計算自体を軽減するために条件分岐を繰り返すところにあります。算数を初めて習う幼少の頃からこれをやる事によって常に条件を意識し、それぞれの数値の性質に注意を払う習慣が養われます。これはまさにプログラミング教育そのものです。
日本でも2020年度から、小学校でプログラミング教育が必修化されましたが、インドでは既に算数の学習を通してプログラミング教育がなされているのです。インドが優秀なIT技術者を多数輩出しているのも納得です。
なら、日本でもやればいいじゃないか。確かにそうですが、もしそれをやるなら、日本社会全体での算数教育の変更が必要になります。それは、そう簡単な事ではありません。文部科学省の指導のもとで、小学校教員、そして親もが、一斉にインド式算数を習得しなければならないでしょう。それは不可能です。
小学生にインド式計算術の教材だけ渡しても、それに精通した先生が近くに居なければ、独学を強いる事になります。独学するには、少なくとも中学校の数学が必要になります。
もし、小学生にインド式計算術を教えるなら、計算法の条件を順に教えながら、条件に合う問題集に取り組ませる。決して、習っていない条件の問題が出てはいけません。そして、計算に入る前に条件を確認する習慣をしっかりと身に付けさせないといけません。現状の日本では、万能の計算法を教えて条件など関係無しの問題集に取り組ませますので、家でインド式計算術を教わった小学生は、学校で大きな挫折感を味わう事になり、下手すると算数が嫌いになるでしょう。
しかし、インド式計算術を幼少の頃から学ばせる事が極めて有効である事はインド人が証明してくれています。もし、あなたが小学生の親御さんで、お子さんにインド式計算術を教えてあげたいと思ったなら、まず、あなた自身がインド式計算術を習得し、あなた自身が先生になる必要があるでしょう。
親子で一緒に学ぶなら問題はありません。基本的に学校では使わない。ただし、条件に合う問題が出たらラッキー!。その時だけ、コッソリと使う秘密兵器です。